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フィギュアスケートで日本人やアジア人が強いのはなぜ? その理由は? 各国の強化策もまとめました

投稿日:2018年12月31日 更新日:

フィギュアスケートの世界大会を見ていると、上位の選手はほとんどアジア系であることに気づいたことはありますか?

 

日本の選手ももちろん強いのですが、アメリカやカナダの選手もいわゆる日系の選手が多い気がします。

 

調べてみると、「気がする」ではなく実際にアジア人選手は上位に入る傾向があるそうです。

 

なぜなのでしょうか?

 

先に理由を話してしまうと、卓球もそうですが、フィギュアスケートも、身長が高いよりも低い、重心が低い日本人やアジア人の体型の方が、演技がしやすい競技なのです。

 

体重も軽いため、演技も軽やかで、ジャンプが飛びやすいのです。

日本人やアジア人選手が強い理由: フィギュアスケートに合う体型

どんなスポーツにも、その競技に合う体型というのがありますね。

 

例えば、柔道やレスリングの選手は、背が高いよりも筋肉質でがっちりとした体型が向いています。

 

バスケットボールやバレーボールは、背が高い人選手が強いです。

 

アメリカはプロバスケットチームもあり、ダントツの強さです。

 

陸上の長距離は細く引き締まった人で、アフリカ系の人が強いですね。

 

ラグビー選手は、体格が良く、日本人よりも、アメリカやオーストラリア、ニュージーランドの選手が強いです。

 

もちろん体型だけでなく、国内でそのスポーツを支える体制もしっかりとできています。

 

このように、そのスポーツに合った体型と、そして支える体制があれば、強くなる可能性があります。

 

フィギュアスケートは、あまり体格がいい選手には向いていません。

 

欧米の若者は、日本人をはじめとするアジア人と異なり、遺伝的にも食生活の影響でも、背も高く体格が良い人が多いのが特徴です。

 

そのため、あまりフィギュアスケート向きの体型ではないのです。

 

これが、日本人をはじめとするアジア人が強い第一の理由です。

旧東欧諸国のフィギュアスケート強化策:国全体でバックアップ

渡部絵美、伊藤みどりのころは、他のライバルといってもある程度選手が決まっていて、しかも、他の選手ではなかなか世界で通用しないというのが普通でした。

 

コーチの数も少なく、社会的に選手を育成する、という意識そのものが低かったような気がします。

 

渡部絵美のころは、カナダや旧ソビエト、東ドイツ西ドイツがダントツの強さでした。

 

しかし、当時噂になっていたのが、オリンピックで勝つために、一部の国では選手の成長を阻害するような薬を利用している、というものでした。

 

フィギュアスケートでは、軽やかな演技をするために、太りすぎるとダメというのはわかりますね。

 

宮原知子も、食事制限の失敗で疲労骨折を経験しています。

 

女性は成長をするために、女性ホルモンが分泌されます。

 

女性ホルモンは骨のもとになる「骨芽細胞」の成分となるために、絶対に必要なものです。

 

ところが、女性ホルモンの原料はコレステロール、つまり脂肪です。

 

当時、フィギュアスケート選手や体操選手は、脂肪はNGという認識が高く、食事のバランスをとるための情報も、今よりも不足していました。

 

女性は、高校生から大学生にかけての10代後半、誰もがジャンプが飛べない、軽やかな演技ができないと苦労をしています。

 

特に欧米の選手は、日本の選手以上に、背も高いため、体重が増えてしまいます。

 

食事内容も肉や乳製品、小麦粉が中心で、普通の人なら気にならない程度の太り方ですが、フィギュアスケーターとしては太りすぎ、になってしまうのです。

 

そこで、女子選手が必要以上成長しないように、旧ソビエトやルーマニア、東ドイツではホルモンの抑制をしていた、といった噂もありました。

 

しかし、それはすでに30年前くらいに問題になり、現在では食生活を変えることで、調整をしている人もいます。

 

他にも、社会主義諸国では、他の人よりも良い生活をするためには、芸術や運動などで、抜きんでることが必要です。

 

旧ソビエトでは6~8歳くらいの子どものうちから、それぞれの特技を生かした学校に入り、その中でトップに立つために、必死で努力をします。

 

これは今でも、あるようで、ロシアのジュニアが強いのはそのためです。

 

現在は、食事によって、健康的にダイエットをし、ちょうど理想的な体型を維持するために、専門家の食事をとっているようです。

 

全日本の結果で坂本花織が紀平梨花に勝ったように、すでにロシアの中でザギトワ、メドベージェフが、トップの座を4回転を飛ぶ14歳の選手に明け渡しています(こちらも2018年年末現在の情報です)。

 

このように、日本やロシアは選手の体型を考えて、それを生かしたプログラムを組んだ演技ができるように、社会全体がバックアップをしています。

日本のフィギュアスケート強化策:野辺山合宿からの成功

日本では、伊藤みどりの成功から長野五輪に向けて、フィギュアスケート選手を小さいころから育てるバックアップ体制を作る計画が始まります。

 

そのために、毎年夏に長野県の野辺山高原に8歳から12歳のノービスクラスの選手を集め、才能がある子を強化選手の候補として、バックアップをしています。

 

強化選手として選抜されるためには、身長や体重の他に、腕や足の長さも測り、ただ小柄なだけでなく、演技がより美しく見える体型の子どもが選ばれます。

 

これは、ロシアのバレエと同じです。さらに、基礎体力や柔軟性、そしてもちろんスケーティングの技術と、総合的な評価をします。

 

今では、日本では選手の層が厚く、シニアのランキングでは世界ベスト10位に4名います。

 

GPファイナルで金メダルを獲得した紀平梨花でさえ17位ですので、そのレベルの高さがわかります。

英語圏のフィギュアスケート強化策:自助努力のアメリカとコーチ陣が充実しているカナダ

アメリカは、どんなスポーツも自助努力によってスターになります。

 

昔の日本のフィギュアスケーターの選手と同じで、家族の支えが第一で、次に選手を育てるためのスポンサーを得ることが必要になります。

 

裕福な家庭の子が中心になっています。

 

そのため、お金のかかるフィギュアスケート選手がなかなか育ちにくいのが現状です。

 

特に、アメリカではフィギュアスケートの大会は人気がなく、全米選手権でも観客席がガラガラという状態です。

 

これでは新しいスターを育てたくても、スポンサーも付きませんね。

 

男子は世界ランキング2位のパトリック・チャン、5位のジェイソン・ブラウンと頑張っていますが、女子は10位のブレイディ・テネルが最高位となり、あまりぱっとしないようです。

 

欧米の人、特にアメリカの若い人は、遺伝的にも背が高くなる傾向にあります。

 

さらに、子どもの肥満が社会問題になるほど肥満率が高く、スポーツをする人の多くは、日本のアスリートよりも、体重が多めになります。

 

 

現在の上位は、ほとんどが日本・ロシア・カナダの3か国が占めています。

 

ロシアでは、国をあげて選手をバックアップしています。

 

カナダは、かつて渡部絵美が、そして今は羽生結弦が留学するほど、フィギュアスケート人気の高い国です。

 

指導者も設備も充実していますので、こういった体制が選手を支えていますので、今でもいい選手を大勢抱えています。

 

体型の問題と、国を挙げてのバックアップが、今の日本のフィギュアスケートの選手を育てる背景にあるのかもしれません。

日本やアジアのフィギュアスケート選手が強い理由まとめ

・日本人は、フィギュアスケートをするために適した体型をしています。

 

・女子選手は成長とともに、体型の維持が難しくなります。ロシアではそういった点でも、国がバックアップをしています。

 

・ロシアでは、フィギュアスケート選手を育成するために、国を挙げてバックアップをしています。

 

・日本でも、8歳からのノービスの子どもたちに、強化選手を選抜し育成をしています。

 

・カナダはコーチ陣や設備が充実した国で今でも、世界ランキング上位の選手を多く抱えています。しかし、自助努力のアメリカは、経済的に裕福な選手でないと、なかなか難しいです。

 

日本では世界で活躍するフィギュアスケート選手が多いのは、フィギュアスケートそのものが日本人の体型に合っていることと、そして選手を育てるための育成の体制がしっかりとできていることです。

 

今年も新しいスターがたくさん出ました。

 

今、まだ無名のノービスの選手が、活躍する姿を見るのも、あまり遠い未来ではないかもしれません。

 

ちなみに、当記事以外のフィギュアスケート記事をまとめた記事は以下になります。

フィギュアスケートをより楽しむために~当ブログの記事を解説付きでまとめました!

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