南極で息を吐いても白くならないのはなぜ? その理由とは?
投稿日:2019年4月7日 更新日:
皆さんは、南極に行ったことがありますか。
行ったことのある人はほとんどいないと思いますが、実は南極で息を吐いても白くならないのです。
日本でも冬になれば多くの地域で、息を吐けば白くなります。
しかしそれより寒いであろう南極では息は白くなりません。
なぜでしょうか?
今回は、南極で息が白くならない理由をご紹介します。
南極で息が白くならないのはなぜ?
息が白くなるのには、外の気温が低いということ以外にも条件があります。
吐き出す息が外の空気より暖かいと、吐いた息には水蒸気が含まれているためそれが冷やされ水滴となり、白く見えます。
もう一つの条件として、外の空気に小さなごみや、チリが浮いているということがあります。
吐いた息は水蒸気ですが、気体は気体です。その気体である水蒸気は、チリや小さなごみを核に水滴に変化します。
これらが息が白くなる主な原因です。
しかし、南極ではある一つの条件がそろっていないため、息を吐いても白くならないのです。
南極は、皆さんご存知の通り気温は低いし、人間が吐いた息はもちろん外気よりも低い温度となっています。
そろっていない条件とは、細かいゴミやチリが浮いていないということなのです。
南極は、非常に空気が澄んでおり、小さなごみやチリは浮いていません。
人間がほとんどいないため、車の排気ガスや工場からの煙はありません。
また、南極の気候は植物が育つのには厳しい気候なので、植物は育たず、花粉が飛ぶこともありません。
その南極の空気は、日本の数百倍もきれいです。
そのため、息が白くならないのです。
逆に、南極で白い息が常にみられるようになったなら、それは南極の空気が汚れてきていることを意味します。
また、南極では雲や雪の結晶もできにくいです。
雲は小さな水滴や氷の粒でできています。
それらも、空気中に漂っている小さなごみやチリが必要なのです。
雪の結晶は、絶対に見ることができないわけではありません。
見ることができたなら、かなりラッキーといえるでしょう。
南極にとっては希少な小さなチリを集めて氷の結晶ができるため、南極の雪の結晶は日本のそれよりも大きい場合が多いです。
北極と南極はどちらが寒い?
北極と南極は、どちらも寒いイメージがあり、しいて言うなら北極のほうが寒いというイメージがあると思いますが、実は南極のほうが寒いのです。
北極は-25℃ほどですが、南極は-50℃ほどです。
それにはいくつか理由があり、その一つとして標高が挙げられます。
北極は標高約10メートルですが、南極は約2500メートルもあります。
しかも南極は、氷の層でできているため、氷だけで2.5キロの高さがあることになります。
中学校で学習した内容に、標高が高ければ気温は低くなるというものがありましたよね。なので、南極のほうが気温が低くなります。
また、海流も関係があります。
南極大陸の近くに「南極海流」という海流があるのですが、その海流により暖流が防がれるため、南極のほうが気温が低くなります。
北極は暖流がそのまま流れ込んでいるため、南極よりも気温は高くなっています。
北極、南極の魚は凍らない!?
皆さんは、南極や北極に抱くイメージはどんなものですか。
多くの人が「寒い」と答えると思います。
確かにそれらの地域では、非常に寒い気候となっていますが、魚は水中でも凍ることはないのです。
普通、真水の場合の融点は0℃です。
ですが、普通の魚は-0.7℃までは耐えることができます。
海水の場合は、-2℃、3℃にもなります。これでは魚は凍ってしまい、死んでしまいます。
しかし、南極の魚は、「不凍たんぱく質」という物質を持っているため、凍ることがないのです。
不凍たんぱく質とは、その名の通り凍ることを防いでくれるたんぱく質のことです。
このたんぱく質で水が結晶化するのを防ぎ、氷の結晶が大きくなることを防いでいます。
結晶化してしまうと細胞が壊れてしまうため、魚にとっては大事なたんぱく質の一つです。
北極の場合、水温が変化するため水温が高い時期には不凍たんぱく質は減り、水温が低い時期には増えるという仕組みになっています。
不凍たんぱく質はカイワレ大根から抽出することができ、冷凍食品や、溶けにくいアイスなどに利用されています。
まとめ
・南極は、空気がきれいすぎて小さなごみが浮いていないため、息を吐いても白くならない。
・南極は、暖流が南極海流によって防がれたり、標高が高かったりするため北極よりも気温が低くなっている。
・南極、北極の魚は「不凍たんぱく質」という物質を持っているため、低い水温でも凍ることはない。
執筆者:woodbat
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