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ニュージーランドの先住民マオリ族への差別ってあるの? 歴史的背景も合わせてご紹介します!

投稿日:2019年3月17日 更新日:

ニュージーランドの先住民であり、ラグビーの試合で踊られるハカでも有名なマオリ族。ニュージーランドに長く住む歴史を持ちながらも先住民ということからくる摩擦や差別は存在するのでしょうか?

 

歴史や現在の生活、文化などを交えながら解説しています。

マオリ族の歴史とニュージーランド

9世紀から10世紀にかけて、ニュージーランドにポリネシア地域のクック諸島、タヒチから移住してきたといわれているポリネシア人開拓者の一派のことをマオリ族と呼んでいます。

 

独特の彫刻を施した船で航海をし、移住後は哺乳類が少ないために鳥類がメインとなっていた当時のニュージーランドで狩猟生活をしながら文化を守り、集落を築いていったとされています。

 

1642年にオランダ人のエイベル・タスマンによって初めてニュージーランドが発見されたのですが、その時にはマオリ族の攻撃にあい、島に足を踏み入れることはできなかったと記録が残っているそうです。

 

その後、1769年にイギリス人のジェームス・クックによってニュージーランドと呼ばれるようになり、1830年代から始まるイギリス人を中心とした移住が本格的になるまでマオリ族はずっとマオリ族独自の生活を続けてきました。

 

イギリス人の本格的な移住が始まると、土地の買い占めやマオリ族の風習をないがしろにするような土地建設が進められていくようになります。

 

結果的にマオリ族との争いが絶えなくなり、死者を数多く出すような武装衝突になっていきます。

 

1842年にワイタンギ条約が締結され、両者の争いは落ち着きをみせます。

ニュージーランドでのマオリ族の差別につながったワイタンギ条約

毎年2月6日はワイタンギ条約が締結された記念日としてニュージーランドでは祝日になります。

 

マオリ族とイギリス人との間で締結されたこの条約は一見穏やかな解決につながるものでしたが、実際は違うものでした。

 

現在もこのことはナイーブな問題として扱われています。

イギリス人移住者との武装衝突が絶えなくなった頃、マオリ族側が土地と民族の保護を依頼したことがきっかけで作られた条約でした。

 

しかし、英語とマオリ語との間での訳にあいまいさ、解釈が違うという問題が起き、一度サインして締結した後にまた大きな争いが起きてしまいます。

 

1843年から30年近くも戦いは続くのですが、イギリスによって鎮圧され、100年以上も解決しないまま放置されて続けます。

 

1975年にワイタンギ条約がやっと再審議され、土地の一部をマオリ族に返還し、公用語にマオリ語も加わりました。

 

ワイタンギデーには毎年記念式典が行われていますが、このことが未だに溝として残っているためにトラブルを引き起こすこともあります。

 

1990年にエリザベス女王がTシャツを投げられたり、1998年にはヘレン・クラーク元首相とマオリの活動家との対立、2004年には、国民党の党首が泥を投げつけられるということも実際に起きています。

 

現ニュージーランド首相である、ジャシンダ・アーダーンが2018年に出席したイギリス連邦首脳会議中、エリザベス女王が主催する晩餐会にマスタード色のドレスの上にマオリ族の伝統的なクローク(外套着)を羽織って参加したということで一躍話題となりました。

 

歴史的背景を考えるとイギリス王室への批判や反抗ともとられそうですが、ニュージーランドの代表として嫌味なくナチュラルに着こなして注目を集めました。

 

スピーチの最後もマオリ族のことわざを用いて締めたそうで、イギリス王室でのこの振る舞いに心を動かされたマオリの人たちもいたのではないでしょうか。

ニュージーランドのマオリ族の現状と差別意識

1975年に公用語に加わったマオリ語ですが、日本語の発音と似ておりカタカナ読みできます。

 

北島をメインに地名のほとんどはマオリ語です。毎年、マオリ語ウィークが設けられニュースや天気予報の一部がマオリ語で表示される期間もあります。

 

マオリ族とうまく共存しているところもありますが、マオリ族に対しての差別意識も一定数あるのは事実です。

 

マオリ族は家族の人数が多く日本でいうところの大家族です。

 

兄弟姉妹が7人、8人いる家庭がとても多いです。

 

家族が多いと家計にも影響が出るのが想像できるかと思います。

 

多国籍国家として、移民が増え学歴や勤務時間や態度に差が出てきてしまうと、家族の多さのために学歴が低め、勤務時間に融通が利かないマオリ族の失業率が上がっていってしまいます。

 

金銭面に余裕がなくなると精神面にも影響が出るため、ダラダラとやる気がないように見えてしまうこともあり、ますます雇用難に陥りがちです。

 

家族を抱えているので、生活保護にあたるものをもらって生活しているのですが、「まともにきちんと働いた人たちの税金で怠けた生活をしている」と差別されることもあるようです。

 

生活難からホームレスとなり、路上でトラブルを起こすマオリ族も比率が多いため、余計に差別意識を植え付けてしまうことになっています。

 

マオリ族全員がそういうわけではないのですが、マイナスなイメージほど広く強く残ってしまうものです。

 

ワイタンギ条約が今でも深い溝になっている部分もあるので、マオリ族からは「マオリ族から土地を奪ったのに!保護されて問題ないはずだ」という意見も出るのですが、ここ数年の急激な物価上昇に伴い、マオリ族の失業率、犯罪率も増加傾向にあるようです。

ニュージーランドでのマオリ族の差別と歴史まとめ

・9世紀から10世紀にかけてニュージーランドに船でやってきて移住したポリネシア人開拓者の一派をマオリ族と呼び、ニュージーランドの先住民としてヨーロッパ人の開拓がはじまるまで独自の生活を続けてきた。

 

・1842年2月6日に締結されたワイタンギ条約で、マオリ族とイギリス人の間での武力衝突は解決するはずだったが、英語とマオリ語との訳や解釈の違いからその後も、30年近く争いが続いた。1975年の再審議までイギリス側が放置したままにしておいたことで、現在に至るまで深い溝が残っている。

 

・ニュージーランドの文化にマオリの文化や風習はうまく共存できているところも多いが、急激なグローバル化に伴う人材や学歴の差についていけない一部のマオリ族の失業率や犯罪率の上昇が社会問題となっている。

 

問題はまだ残っていますが、ニュージーランドはオーストラリアやアメリカと比べても先住民の文化や風習を大事にしている国だと感じます。

 

毎年2月6日はニュージーランドの歴史とマオリ族の歴史とを思い起こさせてくれる大事な日で、ニュージーランドで生活する上で忘れてはいけない日だと思っています。

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