ドックスベストセメントのメリットとデメリット! 虫歯なのに削らない!? 神経をなるべく残すために
投稿日:2019年1月19日 更新日:
近年では、神経を残すことや歯を残すことが優先されて治療が進められており、ドックスベストセメントもその1つです。
ドックスベストセメントを使用するメリットやデメリット、そのほかの神経を残すための治療法や神経を残す必要性について元歯科衛生士が説明します。
ドックスベストセメント(Doc’s Best Cement)とは
ドックスベストセメントとは、歯を削る量を最小限に抑えることをコンセプトとする治療法になります。
アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンに本社を置いているCooley&Cooleu社から発売されている銅のセメントです。
日本では、ドックスベストセメントの取り扱いは難しく歯科医師の技術や経験が必要なため、今現在でも薬事法の許可を受けていません。
そのため、ドックスベストセメントを使用して治療を行う場合は自費診療の扱いになります。
ドックスベストセメントの治療法とメリット、デメリット
ドックスベストセメントの適応となる条件は、虫歯が深く、神経が生きている状態です。
ドックスベストセメントでは、虫歯を全て取り除かずに神経の近くの虫歯を一層残してドックスベストセメントを使用して治療を行っていきます。
ドックスベストセメントを詰めフタをした後日に痛みや症状など問題がなければ型どりを行い詰め物やかぶせ物が入ります。
私が以前勤めていた歯科医院では、ドックスベストセメントの処置は毎日のように行われていました。
ドックスベストセメントを詰めた後日は経過観察を行いますが、虫歯があまりにも深い場合は一時的に軽度の痛みなどが現れる可能性もありますが、経過観察の予約日頃には症状が落ち着いていることがほとんどでした。
また、ドックスベストセメントを詰めた部位の虫歯が進行することもありませんでした。
ドックスベストセメントのメリット
歯を削る量を最小限に抑え、歯の神経を残すことができるため、歯の寿命を延ばすことができます。
ドックスベストセメントの主な成分は銅のミネラル成分なので妊娠中や授乳中でも使用することができ、子供にも問題なく使用することができます。
また、治療の回数も少なく、ドックスベストセメントの治療した部分は永続的な殺菌効果を期待することができます。
ドックスベストセメントのデメリット
日本では、薬事法の許可を得ていないため、自費診療になります。
金蔵アレルギー(とくに銅アレルギー)の場合や虫歯の部位や大きさ、症状などによりドックスベストセメントが適応できない場合もあります。
また、永続的な殺菌効果はありますが虫歯にならない歯になるわけでないため定期検診や自身での歯磨きケアなどにも注意が必要になります。
ドックスベストセメント以外に虫歯を殺菌して神経を残すことができる治療法
ドックスベストセメントと同様に日本では認められていない治療法のため、自費診療になります。
ヒールオゾン治療
塩素の7倍の殺菌力をもつオゾンを使用して、虫歯を削らずオゾンで照射し殺菌することにより虫歯部分の象牙質の再石灰虫を促進させ治療する方法です。
3Mix法
メタロニダゾール、ミノサイクリン、シプロキサンという3つの抗生物質を混ぜて虫歯部分に詰めて使用し、歯の象牙質の再石灰化を促す治療法です。
ドックスベストセメントで歯の神経を残す理由
一般的に歯の神経と呼ばれる部分には、傷みや感覚をつかさどる神経のほかにも、栄養を送る血管や様々な細胞が含まれています。
そのため、神経の治療(抜髄)を行うことにより、歯を守る機能が失われてしまうことになります。
抜髄後の歯は痛みを感じることがなくなり、その歯が再度虫歯になったときや歯に亀裂が入った時などにも自覚症状がなく、気づいた時には手遅れになり抜歯になってしまう可能性がとても高いです。
また、歯の神経の治療はとても難易度が高く、細かく様々な方向に網の目状になっている神経を全て取り除くことは不可能に近い処置になります。
そのため、成功率は60%~80%と言われており、治療後から7年後には再治療や抜歯になるケースも非常に多いです。
近年では、歯の神経を治療(抜髄)を行った場合、歯だけでなく腎臓病や糖尿病、心臓病、アレルギー、リウマチなど全身への影響が起きることがわかってきているため、歯の神経を残す治療をすすめる歯科医院も多く見受けられます。
まとめ
ドックスベストセメント
(Doc’s Best Cement)
l 歯を削る量を最小限に抑えることをコンセプトとする治療法。
l 主な成分は銅のミネラル。
l 今現在でも薬事法の許可を受けていないため、自費診療になる。
ドックスベストセメントの治療法
l 適応となる条件は、虫歯が深く、神経が生きている状態。
l 虫歯を全て取り除かない。
l 神経の近くの虫歯を一層残してドックスベストセメント詰める。
l 治療後に痛みや症状など問題がなければ詰め物や被せ物が入る。
メリット
l 歯を削る量を最小限に抑えることができる。
l 歯の神経を残すことができる。
l 歯の寿命を延ばすことができる。
l 妊娠中や授乳中でも使用が可能。
l 子供にも使用が可能。
l 治療の回数も少ない。
l 治療した部分は永続的な殺菌効果が期待できる。
デメリット
l 日本では、薬事法の許可を得ていないため自費診療。
l 金蔵アレルギー(とくに銅アレルギー)の場合や虫歯の部位や大きさ、症状などにより適応できない場合もある。
l 虫歯にならない歯になるわけでない。
l 定期検診や自身での歯磨きケアなどにも注意が必要。
虫歯を殺菌して神経を残すことができそのほかの治療法
l 日本では認められていない治療法のため自費診療。
ヒールオゾン治療
l 塩素の7倍の殺菌力をもつオゾンを使用する。
l 虫歯を削らずオゾンで照射し殺菌する。
l 虫歯部分の象牙質の再石灰虫を促進させる。
3Mix法
l 3つの抗生物質を混ぜて虫歯部分に詰めて使用する。
l 歯の象牙質の再石灰化を促す。
歯の神経を残す理由
l 神経には、神経のほかにも血管や細胞が含まれている。
l 神経の治療(抜髄)により、歯を守る機能が失われてしまう。
l 抜髄後の歯が再度虫歯になったときや歯に亀裂が入った時などにも自覚症状がなくなる。
l 歯の神経の治療はとても難易度が高い。
l 神経を全て取り除くことは不可能に近い。
l 神経の治療の成功率は60%~80%。
l 治療後から7年後には再治療や抜歯になるケースも非常に多い。
l 歯の神経を治療(抜髄)により、歯だけでなく全身への影響が起きてしまう。
ドックスベストセメントを含めて、神経を残す治療法はいくつかありますが、どれも日本では認められておらず自費費診療になってしまいます。
少しでも歯の寿命を延ばすために、神経を残せるのであれば残すことが懸命かと私も思います
執筆者:woodbat
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