フィギュアスケートの日本と世界の競技人口は? 少ない理由も解説します!
投稿日:2018年12月17日 更新日:
皆さんは、フィギュアスケートの試合を見たことがありますか?
わずか5分足らずの中、美しくも力強い演技に誰もが魅了されるフィギュアスケート。
その美しさに、自分でも滑ってみたい、と一度は憧れますね。
フィギュアスケートが、今のように一般の人の目に触れるようになったのは、1979年、日本でも国際大会「NHK杯」が開かれるようになってからです。
今では、高橋大輔、羽生結弦、浅田真央、宮原知子とたくさんの選手が世界で活躍しています。
そして、日本のフィギュアスケートのレベルの高さが世界レベルの上位にと躍り出ています。
2000年に入ってから、フィギュアスケートの選手として登録をしている人口は年々増加し、2018年には2倍以上に増えています。
今回は、日本のフィギュアスケートの競技人口と世界との比較をご紹介します。
ちなみに、当記事以外のフィギュアスケート記事をまとめた記事は以下になります。
フィギュアスケートをより楽しむために~当ブログの記事を解説付きでまとめました!
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日本と世界のフィギュアスケート競技人口
数字だけを手っ取り早く知りたい方もいると思うので、まとめておきます。
まず、日本のフィギュアスケートの競技人口が4800人ぐらい(もちろん年によって変動します)。
あまり正確なデータが見つかりませんでしたが、女子が4000人強ぐらい、男子が800人弱ぐらいらしいですね。
有名スポーツの競技人口は数百~数千万人なので、だいぶ少ないことがわかるかと思います。
一方、世界に目を向けてみましょう。すべての国を網羅するのは不可能ですが、大会などでよく見かけるアメリカ、カナダ、ロシア、韓国の競技人口を調べてみました。
アメリカ、カナダ、ロシアがだいたい15万人弱、韓国は500人ぐらいです。
世界の男女別人口はデータが見つかりませんでしたが、日本と同じだとすると男女比がだいたい6:1ということになります。
さて、では日本と世界の競技人口の話題をもう少し詳しく見ていきましょう。
日本のフィギュアスケート競技人口と有名選手
NHK杯にオリンピック、グランプリファイナル、世界選手権と、ここ10年になってフィギュアスケートの国際大会で活躍する日本の選手を見ることが増えています。
世界中のファンから応援されている選手も多く、フィギュアスケートを放送する番組も増えていますね。
2年前には「ユーリ‼onアイス」という本格的な男子フィギュアスケーターの活躍を描いたアニメがオンエアされて、それまでは何となく羽生結弦選手が好き、というくらいしか興味のなかった人たちに、フィギュアスケートの世界を分かりやすく伝えてくれました。
10代20代の若いスケーターの活躍を見ているうちに、子どもの中には「スケートを習ってみたい!」と言い出したりしませんか?
しかし、実際には日本での競技人口は世界に比べてまだまだ少なく、ここ20年で競技人口が2倍に増えたと言いましたが、それでもわずか4800人です。
2000年のころは2000人という少なさでした。
その中で、1989年1990年には伊藤みどりが、1994年には佐藤有香がと、数少ない競技人口の中で、世界選手権での金メダルを確保するという、偉業を成し遂げていました。
「競技者としてのフィギュアスケーターをはじめて知った名前を上げて下さい。」と言われて、浮かぶのは誰ですか?
まずは皆さんもよくご存知の選手の名前と活躍をご紹介してみましょう。
・1977年 世界選手権 銅メダル 佐野稔
・1979年 世界選手権 銅メダル 渡部絵美
・1989年 世界選手権 金メダル 伊藤みどり
・1989年 アルベールビルオリンピック 銀メダル 伊藤みどり
・1990年 世界選手権 銀メダル 伊藤みどり
・1994年 世界選手権 金メダル 佐藤有香
・2002年 世界選手権 銅メダル 本田武史
・2002年 世界選手権 銅メダル 村主章枝
・2003年 世界選手権 銅メダル 本田武史
・2003年 世界選手権 銅メダル 村主章枝
・2004年 世界選手権 金メダル 荒川静香
・2006年 トリノオリンピック 金メダル 荒川静香
ほとんどの選手が1990年代後半から2010年にかけて活躍をしたスケーターで、彼らの活躍のおかげで今の日本のフィギュアスケート人気があるといっても過言ではありません。
もちろん、少し上の年齢の人の中には、佐野稔、渡部絵美という名前をみて懐かしいと思われた方もいらっしゃるでしょう。
5000人もいない日本の選手が、世界中で活躍しているということは、他の国はもっと少ないのでは?と思われた人もいるかもしれませんが、アメリカやロシアでは、日本の20倍の競技人口がいます。
日本の10倍、20倍といった競技人口を抱える世界の国々相手に、なぜこれほどまでに日本のスケーターが活躍をすることができたのでしょう。
そして、なぜこれほどまでに、日本ではフィギュアスケートの競技人口が少ないのでしょうか。
日本のフィギュアスケート競技人口が少ないのはなぜ?
日本では、こんなにもフィギュアスケートをしたい人や、競技をする人が増えているのに、スケート場が減っているということをご存知ですか?
佐野稔、渡部絵美、そしてNHKの解説をされていた五十嵐文男や4大陸選手権で金メダルを獲った無良崇人の父無良隆志の活躍で、1980年から1990年代にかけて、全国では新しいスケートリンクが次々と作られました。
しかし、バブルの崩壊とともに、通年のアイススケート場・スケートリンクは経営が成り立たず、次々と閉鎖されてしまいます。
夏場はプールで冬はスケートリンクという季節限定で開かれていた場所でも、スケートリンクの維持にお金がかかるため、冬場は閉鎖してしまうところも増えています。
これから数年の間で全国のアイススケート場の数は100を下回るのではないかと言われています。
そのため、フィギュアスケートを習いたい、と子どもに言われても、ちょっと自転車や車で行ける場所にスケートリンクがないのです。
首都圏でも50か所ほどしかありませんので、野球やサッカー、テニス、水泳、柔道のように、小さい子どもに気軽に習わせることができる、というスポーツではありません。
NHKの連続ドラマ「半分青い」で、主人公の鈴夢が娘の花音にフィギュアスケート習わせるためにわざわざ東京へ引っ越すという話がありますよね。
また、スケートを教える人も少なく、無良崇人や佐藤有香のように、親がスケーターだったという選手以外では、なかなか良い指導者に出会うという機会が少ないというのもあります。
佐藤有香は両親がオリンピック代表スケーターということで、フィギュアスケート界のサラブレッドとしても有名です。
大きな大会で良いコーチに見いだされたり、コーチがいるスケートクラブに入らないと、学ぶことが難しいというのが現状です。
日本選手権や国際大会で同じコーチの名前を聞くことがありますが、良いコーチは大勢の名選手を育てています。
こういったコーチに出会うこためには、簡単ではなくお金と運の両方が必要なようです。
伊藤みどりは現在北海道で子どもたちの指導をしているということです。
世界のフィギュアスケート競技人口と体制の違い
中国やロシアは、幼少期に才能のある子どもたちを早めに集め、英才教育を行っています。
それは、どんな競技も同じで、フィギュアスケートの才能を見出された子どもは、幼少のころからフィギュアスケートに必要と言われるバレエやダンス、語学などの勉強をしています。
ロシアは旧ソビエト時代から、世界大会で連覇をする選手が多く、有名なコーチや振付師が多いのも特徴です。
国を挙げての事業の一つが、スポーツや芸術の振興という国のため、時代が変わっても、常にいい選手を育成する体制があるのが良いですね。
アメリカでは、1990年頃までフィギュアスケートは人気のスポーツでしたが、今では人気が低迷し、スポンサーが減少しています。
競技人口は10万人を超えますが、世界で活躍しているスケーターの数も減少していますね。
元々、エンターテインメントの一つとして、ショービジネスの世界でプロスケーターが活躍するアメリカです。
日本のオリンピック選手だったスケーターが、アメリカのショービジネスでプロスケータ―になっていることもあります。
しかし、最近はフィギュアスケートの大会をテレビでオンエアしても、視聴率が低いと、人気の低さが問題になっているほどです。
自助努力のアメリカは、お金がある家庭でフィギュアスケートを習う子どもがいます。
しかし、お金がない家庭は、奨学生になって高校や大学へ進学をしたり、スケートクラブが育てます。
奨学生のため、いかに世界の大会で活躍をして名を上げるかが重要になります。
そのため、国際大会で勝てないと、この世界で生き抜くことがとても難しいようです。
中には、親が子どもに期待をして、ローンを組んでも子どもにお金をかけてフィギュアスケートを習わせるという家庭もあります。
オリンピックや世界大会はもちろんですが、将来、プロスケーターとして活躍をしてくれることを期待しています。
低迷気味のアメリカですが、ここにきて注目を集めるのがネイサン・チェンです。
ネイサン・チェンの活躍が、アメリカのフィギュアスケート界の新しい光になりそうです。
同じアメリカ大陸でも、1970年代から国際大会スケートカナダを開催していたカナダは、羽生結弦などが練習の拠点としているだけあり、有名なコーチや選手が多くいます。
そのため、人気は高く常時10万人を超える競技人口がいます。
日本との圧倒的な違いは、有名なコーチや振付師が多いため、わざわざ留学をすることなく、国内で充分な教育を受けることができます。
カナダで人気の選手では、男子のフィギュアスケータ―、パトリック・チャンがいますね。
日本では苦手なペアやアイスダンスなどで、常に上位にいるのが、カナダやアメリカ、ロシアの選手ですね。
低迷から抜け出せないヨーロッパのフィギュアスケート界。1970年、1980年といえばフィギュアスケート界ではヨーロッパの選手全盛期時代でした。
ビールマンスピンの生みの親、スイスのデニス・ビールマン、旧東ドイツのアネット・ペッチ、旧西ドイツのダグマル・ルルツが活躍をしていました。
しかし、ここ10年、イタリアのコストナーやフィンランドのコルピを除くと、ヨーロッパの選手権でも上位を占めるのは、旧ソビエトの選手ばかりになっています。
日本のフィギュアスケート競技人口が少ない理由まとめ
・フィギュアスケートは練習をするためのスケート場やスケートリンクが少ないため、簡単に始められるスポーツではありません。
・日本では、他の国と比較し競技人口が少ないスポーツですが、その中で世界で活躍する選手が増えています。
・フィギュアスケートはとてもお金がかかるスポーツですが、チャンスと才能があれば、強化選手として連盟に育成してもらうことができます。
・2000年に入ってから活躍してきた選手が、いずれはコーチや指導者になることもあります。そのため、これからは指導を受けることができる子どもたちが増えることも考えられます。
・世界で活躍するフィギュアスケート選手の出身国も変化しています。今、10万人を超える国でも、競技人口の減少も考えられます。
・逆に日本では次々と新しい選手が育っています。子ども時代からの育成の体制があり、これからも日本の選手が活躍することが期待されます。
人気のフィギュアスケート、これからたくさんの名選手が表れるためには、必ず練習をするための場所や指導者の確保が必要です。
東京オリンピックの後、また日本で冬季オリンピックが開かれたり、世界大会が開かれることもあるでしょう。
これからの新しい選手を育てるためにも、もっと大勢の子どもたちが気軽にフィギュアスケートを楽しめるような環境が作られたら良いですね。
ちなみに、当記事以外のフィギュアスケート記事をまとめた記事は以下になります。
フィギュアスケートをより楽しむために~当ブログの記事を解説付きでまとめました!
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執筆者:woodbat
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