歯科衛生士

歯科衛生士さん向け! バキュームが上手くなるコツや禁忌部位を徹底解説します!

投稿日:2018年11月21日 更新日:

私は元歯科衛生士ですが、勉強の一貫で色々な歯科医院に、患者として出向くことがありました。

 

バキュームの扱いが雑なところ、全然吸えていない状態で口に水が入っているのにもかかわらずユニット(治療台)から起こされてしまうことも、しばしばです。

 

さて、そのバキュームテクニックを改善するためにはどうしたら良いのか、私が実践してきたコツをお教えしようかと思います。

歯科衛生士はまずはバキュームの種類を復習!

歯科用バキュームは別名、歯科用サクションとも呼びます。

 

治療用ユニット(歯科用ユニット)に付属する歯科用バキュームは2つあり、一般的によく使用されるバキュームと排唾管(はいだかん)または、エジェクターとも呼ばれるバキュームがあります。

 

その他にも、診療中に患者の口腔内に溜まった唾液や血液、機械から出る注水、洗浄用の水を即時に吸引排除することを目的としている、診療用サクション。

 

治療中に口腔外へ漏れる有害な浮遊粉塵を患者の口元で吸引し、歯科医師や歯科衛生士の安全の確保と同時に診療室内をクリーンに保つことを目的としている、口腔外サクション。

 

石膏粉塵やレジンの研磨屑、印象材の練和による粉塵が多く発生する技工室では、これらの粉塵を発生源の近くで捕集し、室内をクリーンに保つことを目的としている、技工用サクション。

 

上記の種類のサクションが歯科医院では基本的に設置されています。

 

口腔内バキュームの役割

一般によく使用されているバキュームは直と曲に分かれており、形態がストレート型なのが直、L時に屈曲しているのが曲と呼ばれています。

 

直と曲は歯科衛生士の好みの問題かもしれませんが、私は個人的に直のストレート型のバキュームの方が扱いやすいと思います。

 

バキュームの主な使用目的は、削りカスや唾液や水などを吸引することです。

 

また、唇、頰、舌などを圧排し患者の口腔粘膜を保護と同時に治療部位の防湿や術者の視野の確保と臭気の除去を行う為にも使用します。

 

排唾管の役割

排唾管(エジェクター)とは、スリムでコンパクトな形状のバキュームです。

 

先端部分が口腔内の粘膜や舌を吸い込まないように工夫されているものもあり、治療への負担や不快感を軽減することができます。

 

排唾管の主な使用目的は、治療中やクリーニング中に口腔内にたまった唾液を吸い込むもので、バキュームでは吸いきれなかった唾液や唾を吸引する役割があります。

 

口腔外バキュームの役割

口腔外バキュームとは、術者の作業効率を高め、健康保持に繋がるバキュームです。

 

口腔外バキュームの使用目的は、口腔外へ漏れる有害なウイルスなどを患者の口元で吸引し、術者の健康を守ると同時に診療室内を綺麗に保つ役割があります。

バキュームが下手な歯科衛生士さんは禁忌部位も復習!

バキュームを行う際に、嘔吐反射が起きてしまう禁忌部位が存在し、軟口蓋、咽頭部、舌根部がその部位に当たります。

 

軟口蓋とは、上顎の硬い部分より奥に存在する部分です。

 

咽頭部とは、喉の奥に存在する部分です。

 

舌根部とは、舌の後方の1/3の部分です。

 

この3つの部位は、歯磨きなどをしている際に誤って当たってしまうと吐気を催す部位になります。

 

しかし、嘔吐反射が起きてしまう部位に水や唾液はとても溜まりやすい為、患者を右または左に向いて頂き、嘔吐反射が起きない部位で水や唾液を吸い込みます。

バキュームが下手な歯科衛生士さん向け! 上手くなるコツとは?

バキュームの持ち方は、曲の場合は握り持ちのパームグリップ、直の場合はパームグリップまたは逆パームグリップになります。

 

バキュームの先端の切り口の部位を常に歯の方へ向けて添え、術者の視野の妨げにならないように気をつけます。

 

そして、1番注意しなくてはいけないことは、術者より先にバキュームを挿入することです。

 

術者が席に着き、器具や機械を手に持って作業を開始する直前にバキュームを入れなくてはバキュームを入れるタイミングを逃してしまいます。

 

歯科医師はとくに治療する歯にのみ一点集中で行うので、水や唾液が口の中に溜まっていても気がつかないことがしばしばあります。

 

その為、術者が器具を変えている一瞬などに、奥の水を吸いますと患者に一言声をかけて水や唾液を吸うこともテクニックの1つになります。

 

また、決して口角に引っ掛けないこと、バキュームごと横に引っ張ってしまうと視野も狭くなり、患者も痛みを伴ったり口角が切れてしまう恐れがあります。

 

どうしても頬粘膜を排除しなくていけない時は、バキュームの1/3を頬の裏から引く方が視野も広くなり効果的です。

 

バキュームは、添えるようなイメージで力を抜いて行うことが基本になりますので、力が入りすぎないように注意して視野の妨げにならないよう行うことが1番のコツになります。

 

無理にバキュームを挿入しようとせず、治療や処置前に患者の口腔内の状態や歯並びや歯の形態など把握している方がスペースを見つけやすいかと思いますので、一度確認するようにして下さい。

 

冬場などは特に口角は切れやすいので、治療や処置に差し支えることがなければ、事前にワセリンなどで保湿をする気遣いも大切かと思います。

バキュームが下手な歯科衛生士さん向けの上手くなるコツまとめ

・バキュームの種類と役割をきちんと把握しよう

 

・バキュームが当たるとまずい禁忌部位も把握しよう

・バキュームのこつ

  • 術者の視野の妨げにならないように行う。
  • 術者よりも先にバキュームを挿入する。
  • 術者の妨げにならないよう、奥に溜まった水や唾液を吸入する。
  • バキュームの動きは1/3。
  • 口角を引っ張らないように注意。
  • 添えることを意識して強く持たない。
  • 事前に患者の口腔内の形態を見てバキュームスペースを確認した方が行いやすい。

 

バキュームは歯科衛生士の大切なテクニックの1つです。

 

バキュームには、水や唾液を吸う以外にも役目がありますが、その扱いの上手い下手によって術者の治療時の疲労度や、患者の快適度にも影響を与えます。

 

そして、例え治療が終わっても、ひと段落ついても、気をぬくことなく丁寧にバキュームを口腔内からとり取り除くように心がけてることも忘れずに…。

-歯科衛生士

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