ニュージーランド 雑学

ニュージーランド南島の都市クライストチャーチ、名前の由来と歴史とは?

投稿日:2019年4月21日 更新日:

ニュージーランド南島に位置する都市クライストチャーチですが、2011年のカンタベリー大地震での大きな被害を出したことは記憶に新しいかと思います。

 

クライストチャーチという名前を耳にしたことがあるかもしれませんが、その名前の由来と歴史はどのようなものなのでしょうか?

ニュージーランド・クライストチャーチの由来と歴史

ひし形のような形のニュージーランド北島に対して、南北に細長い形の南島ですが、その南島の中央部にあるカンタベリー平原に位置する都市がクライストチャーチです。

 

首都であるウェリントンよりも多く、国内2番目の人口を誇り、南島最大の都市ともいわれています。

 

1769年にイギリス人冒険家のジェームス・クックによって一気に知名度を上げ、1830年代から本格的なイギリスを中心としたヨーロッパ人の開拓と移住が始まりました。

 

北島同様に、南島にも少数ながら先住民であるマオリ族が定着しており、マオリ語ではOtautahi(オタウタヒ)と呼ばれていました。現在でもこの地名は使われています。

 

クライストチャーチにイギリス人の開拓者がやってきたのは1840年代からです。

 

ニュージーランドへ移住するための、移民団組織を率いていたアイルランド出身の政治家ロバート・ゴドリーの出身校がオックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジだったことがクライストチャーチという都市名の由来となっているようです。

 

1848年3月に開かれたカンタベリー協会の初会合にてクライストチャーチという呼び方が承認され市名として採用されました。

 

命名された8年後の1856年7月にイギリスの女王の許可(勅許)を受けて、ニュージーランドで最初の移民が作った街としてクライストチャーチという都市が誕生しました。

ニュージーランド・クライストチャーチの別名はガーデンシティ

クライストチャーチは歴史的背景からイギリス人移住者の影響を大きく受けた都市建設がされてきました。

 

そのため、「イギリス意外で最もイギリスらしい街」と称されています。

 

クライストチャーチ市内には日比谷公園の15倍の大きさという広大なハグレーパークをはじめとした公園が大小含め700以上もあります。

 

ハグレーパークの桜の花はとにかく圧巻で、ピンク色に染まる満開の時期に行って日本が懐かしくなった思い出があります。

 

ガーデニングも非常に盛んで、いたるところで、イギリス風のイングリッシュガーデンを目にすることができます。

 

一般家庭でもイングリッシュガーデンの様式を取り入れた庭造りをしているところもあるくらいです。そういったことから、別名「ガーデンシティ」とも呼ばれています。

 

イギリス人建築家のベンジャミン・マウントフォートの設計によるネオ・ゴシック建築の建物が市内中心部に建造されていましたが、残念ながら、2011年のカンタベリー大地震でニュージーランドの自然とマッチしたイギリスらしい景観の街並みの多くは倒壊してしまいました。

 

中でも、クライストチャーチのアイコンであったクライストチャーチ大聖堂の倒壊はニュージーランド全土でも衝撃的なニュースとして取り上げられました。

 

現在、大聖堂の修復に時間がかかるため、仮設の大聖堂が建設され利用されています。

 

日本人の建築家、坂茂(ばんしげる)氏が設計したカードボードカセドラル(紙の教会)はまるで折り紙のような構造で、特殊加工された紙管を使い制作されました。

 

同様のデザインで仮設住宅の建築も行ったそうです。

 

このように世界で活躍する日本人の話を聞くとなんだか誇らしく感じます。

 

また、市内を走るトラムも地震の影響でしばらく運休していましたが、2013年の秋に運航再開し、市内中心部のメインストリートを走るようになりました。

 

地震で大きな被害を受けたショッピングモール「キャシェル・モール」跡地に造られた「Re:Start」は、コンテナを積み上げた店舗の並ぶショッピングエリアとして復旧しており、少しずつにぎわいを取り戻しています。

クライストチャーチをマオリ語で言うと?ユニーク?マオリの言い伝え

クライストチャーチはマオリ語ではOtautahi(オタウタヒ)という地名になります。

 

もともとはクライストチャーチの中心部、現在のKilmore Street(キルモアストリート)のあたりをマオリ族の間で呼んでいたようです。

 

マオリ語ではO Tautahiと表示するそうで、「オウタヒのもの」という意味になります。

 

オウタヒというのはカンタベリー地域に定住していたマオリ族の部族の1人の名前で、クライストチャーチ近郊のこのエリアの沼や川で食料を採取していたといわれています。

 

アヒルやウナギ、小魚を捕まえ、川岸に寝泊まりしていたそうですが、ある日食料を集めている最中に突然亡くなってしまったそうです。

 

地震後に倒壊してしまいましたが、セント・ルーク教会の公邸の墓地に埋葬されています。

 

現在クライストチャーチ市と定義されている地域は、タウタヒの特別地域として指定されています。

 

正式名称はテ・フェヌア・オ・ポトキ・タウタヒ(Te Whenua o Te Potiki-Tautahi)ですが、後に短縮され、オタウタヒ(Otautahi)という名前になっていったようです。

ニュージーランド・クライストチャーチの由来と歴史まとめ

・クライストチャーチにイギリス人の開拓者がやってきたのは1840年代で、移民団組織を率いていたアイルランド出身の政治家ロバート・ゴドリーの出身大学がクライストチャーチの地名の由来になっている。1856年にイギリスの女王の許可(勅許)を受けて、正式な都市として制定された

 

・「イギリス意外で最もイギリスらしい街」と称されるほど、イギリス文化を色濃く残している都市でもあり、公園の多さやガーデニングの人気さから「ガーデンシティ」という愛称も持つ。2011年での地震では大きな影響を受けたが少しずつ復興し、にぎわいを取り戻している

 

・マオリ語ではOtautahi(オタウタヒ)と呼ばれるクライストチャーチだが、イギリス人による開拓前から定住していた部族の1人の名前をとってマオリ語では呼ばれている

 

北島の都市とは違い平地で広々とした都市設計のクライストチャーチは2011年の地震以降、復興に力を注ぎ、盛り返しを見せてきています。

 

スローペースで進みがちなので、まだ時間はかかるかもしれませんが、またあの緑あふれるレトロな景色が楽しめるようになってほしいと願っています。

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