飛行機の機内では酸欠にならないのはなぜ? その理由と機内の酸素濃度について解説します!
投稿日:2019年3月20日 更新日:
皆さん、飛行機に乗ったときに、「なぜ飛行機内では酸欠にならないのか」と疑問に思ったことはありませんか。
飛行機というのはかなり高いところを飛んでいます。
富士山なんか見下ろせるくらいに高いところを飛んでいます。
高いところって、酸素が薄くなりますよね。
高山病の経験がある方ならよくわかると思います。
しかし飛行機の中では酸素が少ないと感じないのです。
今回は、飛行機内で酸欠にならない理由をご紹介します。
飛行機の中で酸欠にならないのはなぜ?
高い山に登った時は、気圧が低くなって空気が薄くなり、酸欠になる。これは当然のことです。
飛行機は山に登るよりも早く、高いところへいってしまうのですから、山に登るよりも酸素濃度の変化は激しくなります。
こんな状態では危険なので、飛行機は「与圧」をしています。
飛行機にあるエンジンを使い、外の薄い空気に圧力をかけて機内に入れています。
その時の圧力は約1気圧で、地上と同じくらいの気圧になります。
人間は1分間に大体7リットルほどの空気を必要としています。
500人いれば四捨五入して4キロリットルもの空気を機内に入れなければなりません。
飛行機はそれを考慮しているため、機内に送られる空気の量は1分間で200キロリットルにもなります。
しかも、その空気は5分ほどですべてが入れ替えられます。
しかし、これだと飛行機の機体は危険な状態になります。
なぜなら、飛行機は上空にあるため、外は低い気圧、飛行機の中は与圧された高い気圧で、大きな気圧の差が生まれるからです。
これを防ぐために、断面は円い形をしています。
また、飛行機の与圧に関連した事故もあります。
「ヘリオス航空522便」という飛行機が2005年8月、ギリシャで事故を起こしました。
事故の原因は、与圧システムの異常により酸素が送られず、操縦士が意識不明となったことでした。
着陸できずに燃料切れで森林に墜落しました。
この事故はギリシャ航空史上最悪の事故といわれ、乗客乗員121名が全員死亡しました。
意外なところにも酸素濃度が関係していた! 機内の酸素濃度と湿度とお酒の意外な関係
飛行機でお酒を飲むと酔いやすいのには、酸素濃度が関係しています。
たとえ飛行機内は与圧をしているといっても、機内の酸素の圧力は地上の約80パーセントですので、地上にいるときとは酸素の量が違います。
人間の脳は、酸素が少なくなると機能が少し低下し、酔いに似たような症状が現れることがあります。
その状態でお酒を飲んでしまうので、いつもより酔いやすいと感じてしまうのです。
また、飛行機の中の湿度は約20パーセント。
かなり乾いている状態です。
その状態だと喉が渇きやすいためお酒を多く飲んでしまう人がいるかもしれませんが、体に悪いため、控えるようにしましょう。
飛行機がもっと酸素が多いところを飛べば酸素濃度を調節する必要はないのに…飛行機はなぜ上空1万メートルを飛ぶ?
飛行機というのは、地上から飛んでいるのを見ていればそんなに早くないように感じますが、実際はかなり速いスピードで飛んでおり、時速800キロ以上の速さで飛びます。
これは、音速に近い速度です。
これ以上の速度を出すこともできますが、音速に近づけば近づくほど揺れがひどくなってしまうため、この速度で飛んでいます。
少ない燃料で遠くまで、ある程度の速度で移動するならば、空気抵抗の少ないところで飛ばなければなりません。それが、上空1万メートルなのです。
効率の良さを重視するなら、上空1万メートルよりも高くを飛べばよいのではないか、という意見もあると思いますが、それではだめなのです。
飛行機のエンジンは、ジェットエンジンです。
エンジンの中では燃料が燃えることによってエネルギーが生まれます。
このエネルギーを作るには、燃料だけでなく、酸素が必要になります。
高ければ高いほど、空気抵抗が少ないということは、酸素が少ないということです。
ある程度の酸素の量が必要なため、高すぎてもいけないということです。
空気抵抗が少なくスピードが出るかつ、エネルギーを出すための酸素がある程度存在するという高さが、上空1万メートルなのです。
ちなみに、液体酸素を飛行機内に持ち込み、それを燃料と一緒にしてエネルギーを作り出すならば、外部の酸素は必要がなくなるため、もっと高いところで飛ぶことができます。
飛行機の機内では酸欠にならない理由まとめ
・飛行機で酸欠になることがないのは、「与圧」のおかげ。
・飛行機にあるエンジンを使い外にある空気を圧縮し、機内に空気を送り込んでいる。
・与圧しているといっても、飛行機内の酸素濃度は地上の80パーセントほどなので、酔いに似た症状が出る場合もある。
執筆者:woodbat
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