フィギュアスケートのコンパルソリーとは何か? なぜ廃止されたの?その理由は?
投稿日:2019年1月21日 更新日:
フィギュアスケートの試合では、ショートプログラムとフリーがあります。
どちらも音楽に乗って、氷上のバレエと呼ばれる演技をします。
美しく華やかな競技に誰もが憧れをいだきながら見るのではないでしょうか。
ところで、皆さんはいつごろからフィギュアスケートの試合を見るようになりましたか?
ここ数年、10年くらい前から、という人は試合ではこの二種で結果が出ることをご存知ですね。
しかし、以前はショートプログラムの前に「コンパルソリー」という競技がありました。コンパルソリーとは何でしょうか。
そして、なぜ廃止されてしまったのか、その理由を考えてみましょう。
ちなみに、当記事以外のフィギュアスケート記事をまとめた記事は以下になります。
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フィギュアスケートのコンパルソリーは1990年に廃止された
フィギュアスケートの試合は、1990年以前はコンパルソリー、ショートプログラム、フリーの三種で競われていました。
コンパルソリーは「規定」とも呼ばれ、フィギュアスケート初日の競技として行われていました。
コンパルソリーは、決められたステップでターンやループをしながら半円を描き、図形を描きます。
図形の美しさや描くときのポーズ、図形がよりきれいな円になっている、左右3回ずつ描いた円がきれいに重なっているなどによって点数がつきます。
今では廃止されているコンパルソリーですが、かつてはショートプログラムやフリーよりも重要視され、1968年までは試合の6割がコンパルソリーで決まっていました。
トリプルアクセルを得意とした伊藤みどりは、コンパルソリーが苦手でコンパルソリーでは常に下位出発ということが多かったようです。
逆に、渡部絵美はコンパルソリーの方が得意で、ショートプログラム、フリーと徐々に順位が落ちるということが良くありました。
1969年からコンパルソリーの点数比率は5割、1973年に4割、1989年に2割となりとうとう廃止されてしまいました。
1988年のISU総会では、アメリカ、カナダ、イギリス、ニュージーランドの4ヶ国がコンパルソリーを試合で廃止することに反対しましたが、結果的には廃止が決定しました。
フリーが好きという選手には、苦手、好きではないというコンパルソリーですが、世界上位の選手のほとんどは、コンパルソリーも綺麗に描くという選手が多くいます。
フィギュアスケートのコンパルソリーとは何か?
コンパルソリーは全部で41種類あります。
「フォア・アウト・サークル」「フォア・イン・サークル」
「バック・アウト・サークル」「バック・イン・サークル」
「フォア・チェンジ」「バック・チェンジ」「スリー・スリー」「アウト・スリー」
「イン・スリー」「フォア・アウト・ダブルスリー」「フォア・イン・ダブルスリー」
「バック・アウト・ダブルスリー」「バック・イン・ダブルスリー」
「フォア・アウト・ループ」「フォア・イン・ループ」「バック・アウト・ループ」
「バック・イン・ループ」「アウト・ブラケット」「イン・ブラケット」
「アウト・ロッカー」「イン・ロッカー」「アウト・カウンター」
「イン・カウンター」「フォア・ワンフットエイト」「バック・ワンフットエイト」
「アウト・チェンジ・スリー」「イン・チェンジ・スリー」
「フォア・チェンジ・ダブルスリー」「バック・チェンジ・ダブルスリー」
「フォア・チェンジ・ループ」「バック・チェンジ・ループ」
「アウト・チェンジ・ブラケット」「イン・チェンジ・ブラケット」
「フォア・パラグラフ・スリー」「バック・パラグラフ・スリー」
「フォア・パラグラフ・ダブルスリー」「バック・パラグラフ・ダブルスリー」
「フォア・パラグラフ・ループ」「バック・パラグラフ・ループ」
「フォア・パラグラフ・ブラケット」「バック・パラグラフ・ブラケット」
です。
ものすごい量ですが、すべて選手がショートプログラムやフリーの演技で滑る時にプログラムに入っているものです。
ショートプログラムやフリーではジャンプの他にスピンやステップの技術も点数の基準となります。
ショートプログラムやフリーで選手がジャンプやスピンの間をつなげるステップは、コンパルソリーで学ぶものになります。
コンパルソリーは、一つの課題に対して右の足で3回、左の足で3回、計6回滑ります。
描く図形の基本は、フォアーまたはバックをスケート靴のインサイドまたはアウトサイドに体重を乗せて半円を描くといった動き方で、八の字を描くのが基礎的ものになります。
かつて、オリンピックや世界選手権で実施されていたコンパルソリーは、基礎的なものではなくてより高度な図形を描くことになっていました。
初級はサークルを描くだけですが、級が上がるとループ、チェンジ、スリーターン、ブラケットといったものになります。
描いた円の直径は身長の3倍になるのが、きれいな円とされています。
世界で活躍する上位選手になると、コンパルソリーで描いた6回の円がずれることなく、きれいに重なるということです。
以前は、バッジテストでもコンパルソリーは行われていましたが、今では初級のみになりました。
フィギュアスケートのコンパルソリーはなぜ廃止に? 理由は?
コンパルソリーは、1人1人が丁寧に演技をしますがただ地味に円を描くだけの作業です。
1日がかりなのに、見ていても華やかさがないコンパルソリーは、サッカーやバスケットで言う、準備運動のようなものです。
その準備運動に点数が付けられていた、と考えると分かりやすいかもしれません。
しかし、準備運動や基礎的な動きは、すべての動きの基本ですね。
しかもコンパルソリーは演技する選手の間近に審判が立ちその場で採点をしています。
服装もショートプログラム、フリーで身につけるような華やかなものではなく、地味なタイツとジャージ、スカートといったものです。
テレビ的に見ても、あまり視聴率が上がるものではありませんね。
せっかく基本中の基本を学ぶことができるコンパルソリーですが、あまりにも地味なのでテレビ放送をしようというテレビ局もないということです。
テレビ放映がなければ、自然とスポンサーもつきませんので、試合でやることに意味がなくなっていったということのようです。
最終的には、フィギュアスケートという競技もスポンサー企業がつかなければ、試合をすることができません。
スポンサーあってのスケート連盟、お金あっての大会運営ということになり、自然とコンパルソリーは軽視されていきました。
そして、1990年コンパルソリーは廃止になってしまったと言われています。
フィギュアスケートのコンパルソリーが廃止になった理由まとめ
・コンパルソリーは全部で41種類あります。
・以前はコンパルソリーは試合での比重も高く、試合の得点の6割を占めていることもありました。
・フィギュアスケートの試合でコンパルソリーがなくなったのは、1990年ですが、アメリカ、カナダ、イギリス、ニュージーランドは廃止に反対していました。
・コンパルソリーが廃止されたのは、コンパルソリーそのものが規定で「基本」をただ滑るだけのためで地味なため、テレビ放映をしたいという放送局もなく、スポンサーも付かないことから廃止になっていったと言われています。
2000年も中盤になった今では、フィギュアスケートのコンパルソリーは基本中の基本です。世界でも一流の選手はコンパルソリーでエッジが描く円も美しいと言われます。
コンパルソリーがなくなり、ジャンプが得意な選手は試合での結果が良くなったと言われますが、基本的なステップがきれいにできることはとても大切なことです。
これからフィギュアスケートを始める人は、コンパルソリーもしっかりと練習をして下さい。
ちなみに、当記事以外のフィギュアスケート記事をまとめた記事は以下になります。
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執筆者:woodbat
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