歯科衛生士だけど患者からのクレームでもう辞めたい…対応の仕方や予防策は?
投稿日:2018年11月24日 更新日:
どんなお仕事にも、クレームはつきものです。歯科医院では、どのようなクレームがあるのか、クレームの対処法やクレーム対策について元歯科衛生士がお話します。
歯科衛生士へのクレームと苦情
クレームとは、患者が損害を受けた問題に対して解決を要求することです。
苦情とは、患者が損害への不満、不満な気持ちを訴えることです。
最近では、歯科診療に対する期待度が高くなってきているため、クレームや苦情は多いです。
中には、モンスターペイシェントと呼ばれる、医療機関に対して、一方的な理不尽な要求、暴言や暴力を引き起こすモラルの欠けた患者も存在します。
クレームや苦情、モンスターペイシェントに対応した、医師などの医療従事者が精神的な苦痛を受けた結果、退職するケースもあり、医療の崩壊の原因の1つでもあると言われています。
歯科衛生士へのクレームの原因
クレームの大きな要因と言われている1つ目は、コミュニケーションの不足です。
歯科に限らず、スタッフの患者に対する言葉遣い、態度や対応、身だしなみはとくにクレームに上がりやすい内容かと思ます。
2つ目は、治療方針や治療方法に対してのクレームです。
今はインターネットが普及しているため、正しい情報や間違っている情報が飛び交っています。
患者自身でいろいろと調べることが決して悪いことではありませんが、その情報に惑わせられてしまうことも多いです。
また、歯科医院によっても治療方針や治療方法も違うので難しいところかと思います。
3つ目は、診療の待ち時間に対してのクレームです。
私が以前勤めていた歯科医院は完全予約制でしたが、待ち時間がとても長かったため、クレームは多かったです。
1つの診療がもし時間内に終わらなかった場合、その後の予約は少しずつ遅れて、最終的に待ち時間が長くなってしまいます。
歯科衛生士が不足している歯科医院も多くあるため、歯科衛生士の人数や設備や機械の数に見合っていない予約の時間の取り方をしている場合はとくに、その傾向があるかもしれません。
歯科医院や歯科衛生士への具体的なクレーム内容の例
受付
- 受付に人がいない、呼んでも気付いてもらえない。
- 保険証を間違って返された。
- 予約したのにも関わらず、長い時間待たされた。
- 急患で来院したが、予約制で対応してくれなかった。
- 予約が取れなくて困る。
治療
- 痛みが酷くて来院したが、なかなか治療を行なってくれなかった。
- 治療を始めたのに、痛みが消えない。
- 保険診療ではなく、自由診療ばかり勧められる。
- 薬品が衣服に付着して落ちなかった。
- 乾燥して、唇が切れて痛い。
- 口を開けたままの方が良いのか、閉じても良いのか指示がないのでわからない。
- 歯科医師が毎回見てくれない。
- 歯科衛生士によってクリーニングの仕方が違う。統一してほしい。
- バキュームやクリーニングが下手。(歯科衛生士の技術が低い。)
- 新人や初心者を付けないでほしい。
その他
- スタッフが業務的過ぎて、話をしづらい、対応が悪い。
- スタッフ間の派閥が目に見えて、治療やクリーニングを行うことが不安。
- スタッフ同士の私語が目立つ。
- 扉や引き出しなどの閉める音がうるさい。
- 言葉遣いが悪い。
など、いろいろあります。
私も、一度だけクレームを受けたことがありますが、クレームというより、モンスターペイシェントだったので対応が大変でした。
その患者は、何度か問題行動を起こしており、その度に歯科衛生士が担当を拒み、何も知らない新人の歯科衛生士に担当を任せていたことを後日知りました。
モンスターペイシェントは最悪の事態では、警察に通報しなくてはいけないので、被害を受けるスタッフを守るためにも対応のマニュアルは必須かと思います。
歯科衛生士の患者からのクレームへの対応策
小さなことからクレームに発展してしまうケースが多いです。
そのため、クレームに対してのマニュアルを作る必要があります。
クレームを受けた場合、速やかにクレームを受けたスタッフは歯科衛生士のリーダーと歯科医師(院長)へ取り次ぎ対応する。
基本的にクレームを受ける時は、他の患者の目につかない場所や声が聞こえない場所の個室が望ましいかと思います。
しかし、突然クレームを言う患者がほとんどなので、取り次いだ後に、場所を変えて話をする場合が多いかと思います。
また、歯科医師や歯科衛生士など歯科医院側のミスではない限り、お互い対等な立場です。
しかし、患者は歯科医師や歯科衛生士のように歯科に対する専門の知識はありませんので、気遣いや心遣いは忘れないようにしましょう。
歯科衛生士がクレームを受ける時の注意
客観的に見て、実際に起こったことや話したことは何か事実を把握し、主観的に患者が何を感じ、何を要求しているのか把握する必要があります。
そして、言い訳などせずに、患者の主張をじっくり聞くことが大切です。
また、クレームを受けた日時や経緯など、メモをとり記録をとることをおすすめします。
私が以前勤めていた歯科医院では、患者とのやりとりは全て記録されており、治療の方針や治療の方法など、歯科医師や歯科衛生士と患者の話に入れ違いが起きないように対策をしてありました。
また、クレームを受け解決した後、個人的に注意する事柄などはカルテに記載し、二度と同じことが怒らないように注意を払っていました。
クレームを受けない歯科衛生士になるには
誰もがクレームは避けたいところです。
患者は歯科医師に求めているものは治療などの腕ですが、歯科衛生士に求めているものは安心感だと言われています。
患者が言い出せないことや患者自身が気づいていないこと、わからないことなど察して対応する細かな気配りや一人一人の患者に対して親身に向き合うことが安心や信頼につながります。
歯科医院を含め病院が好きな患者はいません。
不安をたくさん抱えているからこそ、スタッフの些細な行動や言葉にとても敏感です。
そのため、時間に余裕がない、気持ちに余裕がない歯科衛生士は態度や対応で伝わってしまいます。
時間通りに業務をこなさなくてはと、心がけること勿論大切ですが、気持ちに余裕を持って焦らず丁寧に、一人一人対応する必要があります。
そのためにも、必要な器具や機材、機械など事前に準備や点検を行うようにするなど、少しでも時間に余裕が持てるようにしましょう。
歯科衛生士にクレームがきた時の原因と対応策まとめ
クレームと苦情
- クレームとは、患者が損害を受けた問題に対して解決を要求すること。
- 苦情とは、患者が損害への不満、不満な気持ちを訴えること。
クレームの要因と原因
- コミュニケーションの不足によるクレーム。
- 治療方針や治療方法に対してのクレーム。
- 診療の待ち時間に対してのクレーム。
患者からのクレームへの対応策
- クレームに対してのマニュアルを作る。
- 速やかに、対応する。
- 個室で話をする。
クレームを受ける時の注意
- 客観的に見て、実際に起こったことや話したことは何か事実を把握する。
- 主観的に患者が何を感じ、何を要求しているのか把握する。
- 言い訳などせずに、患者の主張をじっくり聞く。
- クレームを受けた日時や経緯など、メモをとり記録をとる。
クレームを受けない歯科衛生士になるには
- 細かな気配りや一人一人の患者に対して親身に向き合うこと。
- 気持ちに余裕を持つ。
- 時間に余裕を持つ。
クレームの対応は非常に難しい問題です。
一人一人の感じ方か捉え方が違うため、小さな気遣いや心遣いがとても大切になってきます。
歯科衛生士が不足しているなかで、気持ちに余裕を持つこと、時間に余裕を持つことは大変ですが、患者あっての歯科衛生士だということを忘れないでください。
執筆者:woodbat
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