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収れん火災の仕組みと対策とは? すりガラスが有効? 窓際の花瓶にご用心!

投稿日:2018年11月18日 更新日:

皆さんは、「収れん火災」をご存知でしょうか。

 

収れん火災とは、ガラスなどの透明なものが太陽光を集め、近くの可燃物に太陽光が当たり火がつくという火災です。

 

今回は、収れん火災の詳しい仕組みと、その怖さについて説明します。

収れん火災の仕組みとは?

収れん火災は、透明の物体により太陽光が集まり、その集まった光が可燃物に当たって火災が発生します。

 

なので、太陽光が当たる窓際の花瓶などは危険なのです。一年間に十数件もの収れん火災の事例があるため、火災の原因の一つと見ることができます。

 

その太陽光を集める透明の物体は、凸レンズ状の物、または凹面鏡の形をした反射物です。なので、水晶玉や、水の入ったペットボトル、水の入った花瓶などです。

収れん火災の恐ろしさ

収れん火災は、太陽光によって起こるので、人の手によって起こるわけではありません。なので、太陽が出ていて花瓶やペットボトルが窓際にある場合はいつ起きてもおかしくないということです。

 

例えば、花瓶を窓際においたまま出かけたりすると危険です。旅行など長期的に家を留守にする場合はもっと危険になります。

 

また、春夏秋冬の中で、冬が一番収れん火災が起きやすい時期となります。なぜなら、太陽の位置が低いため、太陽光は皆さんが住んでいる家の奥まで入り込むので、窓際に限らず危険です。さらに、冬場は乾燥しているため火がよく燃えます。冬は特に注意しましょう。

収れん火災の予防はすりガラス!

収れん火災の予防は簡単なものです。窓際にある透明の物体を無くしてしまえばよいのです。ほかにも、カーテンを閉めるというのも一つの手です。

 

しかし、ガラスがすりガラスの場合、光を通したり、集めたりすることは無いので、ガラス自体をすりガラスにするというのも良いでしょう。

ペットボトルによる収れん火災の事例

福岡県で、ペットボトルによる収れん火災が起こりました。住宅の一階にあるウッドデッキで、テーブルに置かれたペットボトルがレンズの役割を起こして、テーブルの上にあった新聞紙に火が付き、火災になりました。

 

また、その火災により、近くにあった殺虫剤スプレー缶にも火が付き、爆発したそうです。この爆発音を聞いて近くにいた住民は119番通報しました。

 

人的被害はありませんでしたが、ウッドデッキの床やテーブル、そしてテーブルの近くにあった網戸などを焼損しました。

収れん火災のすごい歴史

収れん火災の仕組みは、18世紀に二人の科学者により利用され、「フロギストン説」を否定することに成功しました。

 

フロギストン説は、ドイツのある科学者が出した説です。「フロギストン」という燃える元を物質は持っているから物体は燃えることができるという説でした。

 

例えば炭は、炭の灰とフロギストンが含まれているため、炭が燃焼するとフロギストンが消費され質量が軽くなるという仕組みでした。

 

しかし、金属の燃焼は説明できなかったのです。なぜなら、フロギストンを消費したのに金属全体の質量は増加しているからです。

 

このフロギストン説は、「バーニング・グラス」と呼ばれるレンズを使った収れん火災により、否定されることになったのです。

収れん火災は身近で使われる!?

収れん火災の仕組みは、「太陽炉」と呼ばれる装置で使われています。レンズ、反射鏡を使い太陽の光を集め、高い温度を作る装置です。

 

主に屈折によるものと、反射によるものがあります。屈折によるものは、凸レンズに光を通して光を屈折させ、光を集めます。

 

反射によるものは、凹面の反射板や、平面鏡を使って光を集めます。凸レンズや凹面の反射板は製造コストが高いため、あまり実用化されてはいません。

 

しかし、平面鏡は、反射板、または鏡を作るのが簡単なため、製造コストが低いです。そのため、野外での調理に使われることもあります。

 

太陽を使う性質上、夜や、天気が悪い時には使えませんし、温度の調節も難しいです。しかし、簡単な作りで高温を作り出せますし、電力、燃料を使わないため、二酸化炭素を発生することもありません。

収れん火災の仕組みと対策まとめ

・収れん火災は、水の入ったペットボトルや、花瓶がレンズの役割を起こし、太陽光を集めて近くの可燃物を燃やして起こる火災。

 

・収れん火災の恐ろしいところは、いつ起きてもおかしくないということ。しかも冬場は、太陽の位置が低いため、部屋の真ん中で火災が起きてもおかしくない。

 

・収れん火災を防ぐには、カーテンを閉めたり、ガラスをすりガラスにしたりするなどで予防できる。

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