学校指定の制服やジャージが高いのはなぜ? 理由は子供を守るから
投稿日:2019年5月2日 更新日:
春は入学、進学にと何かとお金がかかる季節です。
子どもを持つ親は、授業料や通学定期でお金がかかるので、大変という人もいます。
授業料や通学定期代は、想定内で事前に用意していますが、制服代やジャージのお金は想定外ということもあります。
制服代はともかく、学校指定のジャージやバッグが指定という学校もあります。
5000円で上下購入ジャージが、学校指定になると10,000円を超えることもあります。
公立中学は義務教育なのに、どうしてそんなに高いものを購入しなければいけないの?
本当になぜ、そんなに高いのでしょうか。
今回は、学校指定の制服やジャージがなぜ高いのか、というお話をしましょう。
学校の制服・ジャージの相場は?
子供が志望校に受かると、家族全員でとてもうれしくなります。
それが公立でも私立でも、子どもが希望した学校から合格をもらえたら、それ以上の喜びはありません。
しかし、合格証書と一緒にもらう「○○高校入学について」といったしおりが入っています。
その中には、入学金や授業料の他に、制服代やジャージ代の一覧表が入っています。
私立の場合は、寄付や施設設備費・通学バッグ代と他にお金がかかってきます。
一方、義務教育の公立中学でも、最低必要なものが「制服・ジャージ・上履き・体育館履き」のお金です。
他にも筆者の地元の公立中学校では、通学バッグ・給食着が指定されていました。
公立は私立学校と比較して安価ですが、それでも制服代は普通の服よりも高いと感じてしまいます。
なぜ、制服は高くなってしまうのでしょうか。
まず、公立の中学・高校の学生がよく着ている「詰襟」と呼ばれる男子の制服は、15,000円から40,000円くらいになります。
女子の場合はブレザー上てにベストがつくと、40,000円を超えるのが一般的になっています。
他にワイシャツやブラウスが一枚2000円から4000円、靴下や靴の指定はなくても「白」と指定している学校が多くあるようです。
そのため、制服とワイシャツ・ブラウス、靴下、靴をそろえると50000円になります。
小学校入学の時のランドセルと考えると同じくらいですね。
しかし、小学校の時にかからなかったのがジャージ代です。
一般的にジャージは、3,000円から15,000円で販売されています。
10,000円を超えるものは、ほとんどがナイキやミズノ、アンダーアーマーといったスポーツブランドになります。
しかし、学校のジャージはノーブランドです。
にもかかわらず、学校指定のジャージは上下で10,000円前後、私立の場合は上下で20,000円を超える学校もあります。
中学は授業料や入学金がかかりません。
それでも制服一式・体操着とジャージ・上履き・指定のバッグや自転車通学の場合の合羽など合わせると、80,000円~100,000円が相場です。
公立高校もほぼ同じくらいはかかります。
私立中学・高校の場合、制服そのものをブランドや百貨店に委託している学校もあります。
ジャージも、有名スポーツブランドメーカーにお願いして、学校のロゴや校章・生徒の名前を入れてもらうため、公立より高くなりことがあります。
私立の学校は公立と違い、靴下や靴・バッグ・コートと細かいものまで指定されているため、総額だけで100,000円~200,000円になります。
なぜ高いの?学校の制服やジャージ
いよいよ、なぜ制服が高いのかというお話です。
制服には大きく分けて2種類あります。
1つは素材が「毛」を使っている制服です。
仕立てが良くしっかりとしていますが。脱いだ後の手入れも必要です。
私立学校の多くで利用しています。
もう1つはポリエステルです。
公立中学校のほとんどは、ポリエステル素材です。
同じ詰襟でも値段の差が出るのが、ここになります。
ポリエステルの制服は、化学繊維のため安くなります。
しかし、ポリエステルの良い所は、クシャクシャにしてもしわができにくく、簡単に家庭で洗濯ができるため、まだまだやんちゃな中学生にはぴったりです。
また、卒業後も型崩れがしてないこともあり、高校の制服が同じ詰襟なら、ボタンだけを替えて着ることができるというメリットもあります。
ポリエステルの制服は、劣化しにくいため、兄弟がいればお下がりを利用することができます。
それでも、制服を新しく作る人は一体どれくらいいるでしょう。
まず、規模の大きな新興住宅街の中学校で5クラスあるとします。
5クラスの男子生徒、または女子生徒が制服を新調したとしたら、指定のお店の販売数は毎年100人、男女合わせて200人程度です。
同じ形のブレザーを、一般的な大手ブランドが展開したら、国内だけでなく国外も含めて10,000着以上を作ることになります。
同じ生地を作るために、数が少ない場合はそれだけコストは高くなります。
しかし、大量に生産したらコストはかなり削減します。
同じ工程で同じ素材の生地を使ったとしても、数倍違ってきます。
制服が高い一番の原因はこの「コスト」の違いです。
そしてそれは、ジャージも同じです。
学校指定の制服やジャージの生産コストは高い! あなたが作るならなら一枚いくら?
制服のような「洋服」は袖や衿とカーブしている箇所が多く、生地の裁断に無駄が出ます。
数多く作ればその無駄も最小限にできますが、数百人分ではどうしても無駄が多くなります。
他にも、私立の中学や高校、公立の高校でもおしゃれな制服なら、その学校のための生地を織ることになります。
生地も同じものを大量に作る場合と、数百人分作る場合では、かかるコストが違ってしまいます。
制服だって何年も作るなら、それくらいの生地を織っても大丈夫なのでは、と思われるかもしれません。
しかし、制服も流行によって変わったり、毛の生地は劣化しやすいため、何年も同じものを使うわけにはいきません。
そのため、一度に織った生地を何年も使うわけにはいきませんね。
また、大量生産の洋服は、それぞれを担当する人が違います。
衿のカーブを縫う人、袖を縫う人、裾を上げる人とすべてを細分化します。
しかし、制服は縫う数を考えたら、それほど大勢の作業をする人は必要ありません。
そのため複数の作業を1人の人が担当します。
皆さんは、自分で服を縫ったことがありますか。
服を縫ったことがある人なら、制服一枚を作るための工程にどれくらいかかるか、想像がつきますか。
もしも、制服と同じ形のブレザーを作るなら、と想像したことはありますか?
まず、型紙を作るのに数日かかります。
生地の地直しに1日、裁断と印付け、仮縫い、そして本縫いになります。
ここまでにさらに、数日かかります。
そこから、ダーツや切り替え線を縫います。
脇線を合わせます。
と、普通に1人で1着の制服を作るためには、10日から1カ月くらいかかります。
あなたが、1人で制服を縫うなら、いったいいくらくらいお金を請求しますか。
手間を考えて日給10,000円は欲しいと思ったら、100,000円くらい欲しいと思いませんか。
これが、制服になると50,000円になります。
しかも、生地は学校オリジナルの場合があり、生地代も普通の服以上にかかります。
工場で作業する人が複数いても、1人の作業の人に時給1000円支払うと、原価は数万円になります。
全ての制服を作るために、人件費・原材料代・ミシンやアイロンの電気代をすべて支払うと1カ月で上下で4,000万円以上はかかります。
同じデザインの一般に小売りするブレザーならどうでしょう。
生地代などの原材料代などのコストを考えると、作る量が増えればその分コストもかかります。
例えば、一度に使う電気代や生地代・人件費などを増額しても1億円になるとしまう。
200人分の制服なら、1人分の原価は上下で20,000円です。
輸送や販売手数料をプラスすると30,000円になります。
一方、大量生産の服なら、3億円かけて同じ形の10,000着のブレザースーツを作っても、10,000円になります。
海外などの工場で生産すると、人件費がさらに削減できますので、5,000円くらいでスーツ一着が作れるということです。
これはジャージも同じです。
ジャージもその学校のために、ラインの色やロゴ、校章の刺繍などをすることがあります。
その分、一般的に市販されているジャージよりも割高になってしまいます。
制服とジャージは、どちらも限られた人のために作ります。
そのため、どうしてもコストがかかってしまうということになります。
制服やジャージは他の業者では購入できない?
制服やジャージが高いもう一つの理由は、制服を作る業者が固定されているところです。
公立の制服は、ほとんど地元の衣料品メーカーや衣料店が販売しています。
第一中学は○○洋品店、第二中学は▲▲衣料店、第三小学校は××衣料品店といった感じです。
他で購入できないということは、当然お店間の競争もありません。
割引などは、当然ありません。
その学校に入学する子どもたちは、全員その店や会社で購入することになります。
それは癒着ではないか、独占ではないかという声もありますが、地産地消といえば仕方がないのかもしれません。
実は、普通の詰襟の学生服はネットでも購入できます。
しかし、ほとんどの人はネットで3年間着る制服を購入したい、という人はいないのではないでしょうか。
どうしても、同じ学校に行くなら同じお店で買う、というのが当たり前になっていますね。
そのため、どうしても学校の制服やジャージは、値段が高くなってしまいます。
制服の工夫と役割
中高生は、乳幼児に次いで二番目に人が成長する時期です。
しかし、高額だからこそ3年間同じ制服を着てほしい、と思いますね。
そのため、制服には色々な工夫がされていることをご存知でしょうか。
まず、男子の制服は袖やズボンの裾を、いつでも長くすることができるようになっています。
女子の場合は、ウエストの部分でプリーツを織り込んで、いつでも伸ばせる工夫があります。
子どもの制服でお直しをしたことがある人は、ご存知ですね。
このほかにもウエストを伸ばすために、アジャスターを付けていたり、鍵ホックが3連のものを使ったりと、色々な工夫をしています。
そのため、見た目よりもはるかに隠れた工夫があり、生地を使っています。
こういった技術も制服ならではのもので、普通の洋服では使われていません。
もちろん、ある程度成長を見込んで、制服を大き目に購入しますが、そこからさらに大きく直すことができるようになっています。
縫い代も多めにとってあり、その分でも普通のブレザースーツよりも、多くの生地を使っています。
公立の学校が使うポリエステル生地の制服は、簡単に洗濯ができるため、クリーニング代を節約することができます。
しかも3年間の、掃除をしたり勉強したり、体育館の床に座ったりという過酷な学校生活にも全く動じることなく、子どもを守ってくれます。
多少擦り切れても、専用のお直し業者に持っていくと、3年間保証でお直し代が無料という学校もあります。
また、制服があることで、毎日の服を考えなくてすみます。
友だちと同じような服を着ないと、ダサいと思われたり古い服ばかりだと恥ずかしいと思うこともありません。
中高生の親は制服があるので、小学校よりも被服費がかからず「楽」と考えています。
毎朝悩むこともなく、3年間制服とジャージだけで、ほとんど私服を購入しなかった、という家庭もあります。
はじめは高いけれど、3年間を考えたら私服の学校よりも、割安という人もいます。
制服は身分の保証してもらえるため、3年間子どもを守ってくれるのです。
制服やジャージの価格を抑えたい
公立中学では、生活保護家庭や一人親世帯で、無駄なお金を使うことができない子どものために、卒業生が制服やジャージを寄付しています。
全ての自治体ではありませんが、学校で行っているところや自治体で行っているところがあります。
また、地元の提携店が直に販売することで、私立中学や高校よりも、割安に提供できるようにしています。
制服やジャージの価格を抑えたい場合は、まず家計と相談し地元の教育委員会などに相談をしてみましょう。
私立の学校でも、卒業生の先輩が後輩に、比較的きれいな制服を譲るという人もいます。
色々な方法で制服やジャージ代を抑えることができますので、学校などにも相談してみると良いかもしれません。
まとめ
・学校の制服やジャージは一般の服よりも高くなります。
しかし、それはどうしても「コスト」がかかってしまうからです。
・学校の制服やジャージは、公立よりも私立の方が割高です。
私立の場合は、入学金や授業料だけではないことを知って準備をしておきましょう。
制服やジャージがなぜ高いのか、というお話でした。
しかし、3年間着ることができる制服です。
毎日365日を3年間、私服を複数枚持って着まわすよりも、割安だと思いませんか。
執筆者:woodbat
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