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松阪牛の読み方が変わったのはいつから? なぜ? まつざかぎゅうVSまつさかうし!

投稿日:2019年4月10日 更新日:

日本三大和牛の1つであり、霜降り肉が特徴的な松阪牛は国内国外を問わず人気を誇る高級牛肉です。

 

「松阪牛」とみて、何と読みますか?

 

以前と読み方が変わったような気がすると感じる方も多いのではないでしょうか?

 

一体いつから、なぜ読み方が変わっていったのでしょうか?

「松阪牛」の読み方が変わったのはいつ?

少し前までは「松阪牛」を「まつざかぎゅう」と読んでいた方は多いのではないでしょうか?

 

わたしは何のためらいもなく、「まつざかぎゅう」と認識していました。

 

しかし、最近「まつさかうし」という読み方を耳にすることが多く、「まつさかうし」が定着してきたように思います。

 

実は2006年の商標法の改正によって地域団体による商標登録が可能になりました。

 

それを受け、2007年2月に松阪牛関係団体が共同で出願し、「松阪牛(まつさかうし)」「松阪肉(まつさかにく)」が商標登録されました。

 

松阪牛の生産地である三重県によると「まつさかうし」という読み方は県と協議会の間のみで決めた制度とのことですが、もともとこのあたりの地域では「まつさかうし」と呼ばれていたそうです。

 

また、産地の松阪も公的な読みは「まつさか」なそうです。

 

約10年の間での変化なのですが、何の違和感もなく「まつざかぎゅう」と読んでいた身としては生産者の方々に対して失礼だったと反省しています。

 

「和牛」を「わぎゅう」と読むので「○○牛」は「○○ぎゅう」だというイメージが染みついていました。

 

ちなみに「松坂」ではなく「松阪」、「まつざか」ではなく「まつさか」とのことですので、気を付けていこうと思います。

「松阪牛」の読み方が変わったのはなぜ?

2007年の商標登録によって「まつさかうし」という読み方を登録したことは「松阪牛」のブランド名の大きな変化をもたらしたと言えます。

 

公式にブランド名が「まつさかうし」「まつさかにく」と商標登録されたことで、産地で使われていた読み方がメディアを通じて世間一般に広がっていきました。

 

それ以前はあいまいだった読み方に一線を引いたことで、ブランド名をより明確にすることができたのではないかと思います。

 

もともと産地の三重県では「まつさかうし」と呼んでいたのですが、高級霜降り肉として知名度を上げていくうちに、ニュースやグルメ番組で「まつざかぎゅう」と紹介されてしまったことがこの混同の原因でもあります。

 

「まつざかぎゅう」のほうが語感もいい気もします。

 

その土地の言い回し、読み方を尊重するべきなのでしょうが、ここまで広まってしまった認識を覆すのはなかなか至難の業のようです。

 

松阪牛関係団体によると、三重県のブランド牛として松阪牛を発信していく際には「まつさかうし」読みをメインで扱うが、あくまで他の読み方を制限するものではないとしています。

 

また、商標は「まつさかうし」ですが、「まつざかぎゅう」や「まつざかうし」といった読み方も間違いというわけではないとしています。

 

一般的な呼び方と公的な呼び方を統一するのは難しいとの理由からですが、たしかに一度定着してしまった読み方を別の読み方で再認識させることは、なかなか時間のかかる問題です。

 

日本が誇る「肉の芸術品」とまでいわれる松阪牛と生産者のためにも「まつさかうし」「まつさかにく」の読み方に意識を変えていくべきではないでしょうか。

 

生きているウシを「まつさかうし」、牛肉を「まつさかぎゅう」と呼ぶという見解も出回っていますが、これは俗説といわれています。

 

牛の個体そのものでも牛肉であってもどちらのことを「まつさかうし」「まつさかにく」と呼んでも間違いではありません。

松阪牛だけじゃない! 牛の読み方ギャップいろいろ

本州北部出身ですので、「米沢牛」は「よねざわぎゅう」、「前沢牛」は「まえさわぎゅう」、「信州牛」は「しんしゅうぎゅう」と読むことが一般的で、「松阪牛」を「まつさかうし」と読むことは最近になるまで恥ずかしながら知りませんでした。

 

「飛騨牛」は食肉になった後は「ひだぎゅう」と呼び、食肉になる前の牛は「ひだうし」と呼ぶ違いがあること、「神戸牛」は「こうべぎゅう」とも読みますが海外での人気の高さから「こうべビーフ」と呼ぶことも知り、奥深さに驚いています。

 

神戸牛の海外での人気の高さと、おいしさに感銘を受け、子供の名前にしてしまう人もいるとは聞いたことがありましたが、「神戸牛」そのものが「神戸ビーフ」とグローバル化していて衝撃的です。

 

ご当地のものでいえば、「秋田犬」を「あきたいぬ」、「土佐犬」を「とさいぬ」と読むような一般的な読み方のイメージとのギャップがあります。

 

そのほかにも、「依存症」は「いそんしょう」、間髪を入れずの「間髪」は「かんはつ」、「刺客」は「しきゃく」と読むのですが、一般に定着している読み方とギャップがあるものも多く存在します。

 

こうやって見てみると日本語は難しいといわれることが理解できますが、とてもおもしろい言語だとつくづく実感します。

まとめ

・2007年2月に松阪牛関係団体が出願した「松阪牛(まつさかうし)」「松阪肉(まつさかにく)」が商標登録されましたことがきっかけとなり、「まつさかうし」「まつさかにく」に読み方が変わっていった。

 

・産地である三重県ではもともと「まつさかうし」と読んでいたのだが、メディアの影響で「まつざかぎゅう」という呼び方が定着してしまった。公式なブランド名の登録後「まつさかうし」の読み方で再度定着するようになってきている。

 

・「松阪牛」に限らず、産地やご当地の読み方と世間に広まっている読み方にギャップのあるものはある。また、辞書と一般的な読み方にギャップのある言葉もたくさんある。

 

ちょっとした手違いから産地と世間の読み方の認識を変えてしまうほど、メディアの影響は大きいものです。

 

美味しいものを美味しくいただくためにも、生産者のためにも「松阪牛」を「まつさかうし」ときちんと読んでいくべきではないでしょうか。

 

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