点字ブロックは海外にも普及している? それとも日本だけのもの? 歴史や雑学をご紹介!
投稿日:2019年2月24日 更新日:
日本では街中いたるところで目にする黄色の点字ブロック。
視覚障害者の方が安全に歩行するのを助けてくれている点字ブロックですが、海外で見かける機会はあまりありません。
点字ブロックが普及しているのは日本だけなのでしょうか?海外でも普及しているのでしょうか?
点字ブロックの歴史: なんと発明者は日本人!
海外に旅行などで行くと日本ほど見かけない点字ブロックですが、実は日本で生まれたものです。発明したのは岡山県に住む三宅精一さんです。
ある日白杖を持った視覚障害者の人が歩道を横断しようとする際に、車が勢いよく目の前を走り去るという危険な場面を目にしたことをきっかけに、視覚障害者の安全な歩行について考えだしたのだそうです。
「交差点など危険な場所に凹凸をつければ、目が見えなくても足の裏でわかるはずだ」とひらめき、試行錯誤を繰り返した結果、1967年、岡山県立盲学校の近くの横断歩道に初めての点字ブロックが設置されました。
発明当初から国内での点字ブロックに対する評価は高かったようですが、当時は高度経済成長期で福祉に予算を割くという動きが活発にはならなかったようです。
その後、オイルショックの影響で高度経済成長にストップがかかったことで、政府が福祉に対しての見直しをはじめ、点字ブロックはどんどん普及していきました。
反面、点字ブロックの類似品が出回るようになる、利益追求のためにデザインを優先させるものが出回るなどから混乱を招くという事態も生まれました。
JRでの視覚障害者がホームから転落する事故をきっかけに、規格化が進められ2001年に点字ブロックの統一規格がJISに制定され、各自治体の条例にしたがって設置され続けています。
現在、道を歩いていると何気なく目にする黄色の点字ブロックは徐々に海外にも普及しているようです。
海外の点字ブロック
海外でも徐々に普及していると言われている点字ブロックですが、日本発祥のものだからか今一歩まだ理解と普及がされていないように感じます。
点字ブロックには誘導ブロックと警告ブロックの2種類がありますが、これらの意味を理解しきれず設置されているケースもあり、たびたび問題視されることもあります。
誘導ブロックをたどっていくと壁にぶつかるように設置されている国もあり、設置する側の認識もまだ甘いようです。
実際に設置されている点字ブロックに対しても「雨の日に滑らなくするためのもの」「車椅子のグリップ代わりのようなもの」だという認識を持った人達が多く、本来の意味を理解されていないのが現状です。
また、観光収入の多いヨーロッパなどでは、観光地の街並みや景観に関する法律がとても厳しく、設置しにくいといった問題があるようです。
街並みや景観と黄色や白の点字ブロックの共存は確かに難しいものだと思います。
実際、景観を考慮して、白やグレーのような落ち着いた色合いでつくられている点字ブロックがヨーロッパには多いようです。
2004年のアテネでのパラリンピック開催の影響でギリシアには日本同様に街中に黄色の点字ブロックが設置されました。
他にもオランダにも日本と似た点字ブロックが導入されているところがありますが希なケースのようです。
世界的にみて共通しているのが、日本のように街中に点字ブロックが設置されているのではなく、空港や駅構内や周辺ということです。
日本と海外の点字ブロックの今後
視覚障害者の方が足裏や白杖の先端をつかって地面の触感を認識し、安全に歩行ができるようにサポートするためとして点字ブロックの果たす役割は非常に大きいものです。
ヨーロッパでは日本のような黄色の点字ブロックではなく、景観の維持も兼ねて試行錯誤しています。
フランスではより触感の違いを出そうと点字ブロックではなく、ゴム製の誘導ラインを取り入れています。ドイツ、イタリアでは黄色ではなくグレーの点字ブロックを設置しています。
幅広で日本のものより凹凸が少ないようですが、触感の違いがしっかり認識できるもののようです。
フィンランド、ベルギーでも誘導ブロック、警告ブロックが設置されていますが、色は地面と同系色のもので、ブロックというよりは丸い突起物のようなシンプルなものが敷かれています。
アメリカ、カナダでは日本のように明るい黄色の点字ブロックが駅構内に設置されています。交差点にも日本のような点字ブロックがあるところもあります。
ニュージーランドにも駅に黄色の点字ブロックとシルバーの丸い突起物のようなものとどちらもあります。横断歩道には黄色の点字ブロックがあります。
イスラエルでは黄色ではありますが、滑り止めのきいたラインの触感の違いで認識をさせています。
中国、韓国では日本を模範として街中に点字ブロックが設置されてきているようです。
香港やインドでも地下鉄や鉄道の駅ホームで点字ブロックを目にすることができます。
日本のような明るい黄色ではありませんが黄色で凹凸のあるブロックで誘導、警告を示しています。
このように世界あちこちでも景観や国の予算に配慮して点字ブロックは普及し、広がりを見せています。
日本は発祥の地でもあるため、いたるところに点字ブロックが設置されていますが、視覚障害者の中には「便利ではあるが、設置のされすぎで迷子になってしまうことがある」と感じる人もいるようです。
また、車いす、ベビーカー、高齢者の歩行器、配送業者の台車ではガタガタして通行しづらい、雨の日は滑りやすいという意見もあります。
安全さを考慮した結果、過剰になりすぎてしまっているところが日本の点字ブロックの普及の影にはあるのかもしれません。
場所によっては、設置の仕方や点字ブロック以外の触感を認識させる方法でバリアフリーにもなりえる方法を考慮しないといけないのではないでしょうか。
同時に、日本の生み出したこの足裏や白杖の先端をつかって地面の触感を認識し、安全に歩行ができるようにサポートする点字ブロックが世界中のその国に応じたやり方でどんどん普及していってほしいとも強く思っています。
日本と海外の点字ブロックの歴史と雑学まとめ
・点字ブロックは日本で発明され、1967年に初めて岡山に設置された
・海外でも少しずつ普及されているが、日本ほどの普及率ではなく、点字ブロックそのものに対しての理解も不十分なところがある
・世界各地でその国の事情や予算に合わせて試行錯誤しながらさまざまな形で点字ブロックが普及されている。日本では過剰すぎる設置の改善が必要とも言われている
日本発祥の点字ブロックは非常に画期的で素晴らしいアイディアで誇れる発明です。今後もその国に合わせたやり方でどんどん広がっていってほしいと思っています。
執筆者:woodbat
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